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週刊誌が「無料エロ動画」特集を相次いで掲載
投稿者: tada

 違法アップロードされたAVの視聴を煽る記事が週刊誌に相次いで掲載され、AV関係者が不快感を表明するなど波紋が広がっている。

 有償の作品を権利者の許諾なしで違法にネット上にアップする行為は、音楽やマンガ、アニメ、映画など各業界で問題視されているが、これはAV業界も例外ではない。海外の動画サイトに作品が丸ごとアップされることもあり、有名女優の無修正版がネット上に流出して大騒ぎになったこともあった。

 業界にとって非常に悩ましい問題だが、発売中の「FLASH」(光文社)は「PCで、スマホで3分でできる 無料・無修整 40歳からの『モロ出し動画』超速入門」と題した特集を掲載。Google検索から「XVIDEOS(世界最大のアダルト動画サイト)」にアクセスし、目的の動画にたどり着くまでの工程を画像付きで丁寧に説明している。海外サイトでは英語を使ったほうが検索に有利ということで、ページ下段には「中出し→Creampie」「フェラチオ→Blow job」「企画モノ→Game Show」などといった“エロワード辞典”まで載せているほどの熱の入りようだ。

 人気動画のベストテンも掲載されているが、タイトルは変えられているものの大半が日本のAV作品。違法アップロードされた作品であることは明白であり、その視聴を煽っていると見られても仕方ない部分がある。人物名について「アルファベットで入力した方がいい」などとも書かれているが、個人撮影モノであれば人物名を入れる必要はなく、明らかに違法にアップされた商業作品を目的にしていることがうかがえる。

 同誌は先週号でも「誰でも見られる『無料無修整』 モロ出し動画の世界」と題した特集を組んでおり、誌面のキャッチによると「大反響につき、さらに易しく詳しく」ということで今週号でも続編を掲載するに至ったようだ。

 また、6月下旬に発売された「週刊現代」(講談社)7月5日号では「60歳からの『完全モロ見え』エロ動画」と題した企画を掲載。「あなたの人生が変わります!タダです、安全です」といったキャッチコピーまでつけられ、往年の爆乳AV女優・松坂季実子に“再会”する方法を軸にしている。

 高齢者向けの企画ということもあってか、記事では「ヤフーやグーグルといった検索サイトで『FC2動画アダルト』と検索」「サイトにたどり着いたら、次に検索ボックスに『松坂季実子』と入力」「右横のルーペのマークをクリックすると、彼女の名前を冠した動画が35件ヒット」「その中から『全員』というマークの付けられた画像のタイトルをクリックすれば、動画が始まる」と異常なまでに細かく説明。FC2アダルトは非会員だと視聴できる回数が少ないが、同誌は「会員登録すれば視聴回数は15回にまで増えるが、無料なので安心してほしい」と読者を諭している。

 さらに同誌は、FC2アダルトだけでなく「xHamster」(エックスハムスター)というサイトも紹介。往年の名女優の動画を見るならFC2アダルトよりも優れていると薦めている。

 同誌は以前にも“エロ動画企画”を打っており、それを読んだ読者からは「無修正動画を見るのは違法なのではないか」との問い合わせが多かったそうだ。だが同誌は「動画を見て楽しむだけなら、違法ではない。無修正動画をアップロードする側は『わいせつ物頒布等の罪』や著作権法違反の疑いがあるが、個人的に閲覧する側は絶対に罪には問われない」と断言。「安全」であることを強調し、高齢読者を“違法動画”の道に誘おうとしている。

 このような一昔前の「厨房向け」「裏モノ系」などのパソコン誌がやっていた企画を名の通った大出版社が今さら堂々と掲載し、それをイイ年した大人が喜んで読んでいるとしたら情けない話だ。

 こういった違法動画は業界関係者にとっても苦々しい問題となっている。

 人気AV女優の成瀬心美(24)は今年5月、Twitter上でファンから「今から、ここみんのこれ見るよー」と彼女の動画をFC2アダルトで視聴しようとしている場面の写真を見せられた。これに成瀬は「無料動画もいいけど買ってくださいねー」と大人の対応で返答。だが直後に「よくも堂々とFC2見せてこれるな」「一生懸命頑張ったものがタダでゴロゴロアップされてたらたまったもんじゃないですよ。音楽や色んな事に対しても言えるけどね」と苦言を呈した。

 また、前述の週刊誌記事に対しても、あるアダルト業界関係者が「FC2のアップロードロードをこまめにチェックしたり、コピー品を摘発に各社協力してまわっている最中に日ごろ無料にはことさら厳しい雑誌界からこういう記事を出されるとやるせない」とネット上で発言。さらに「シールを貼って立ち読み禁止にしたり、袋とじで意地でもタダ読みさせない週刊誌が無料配信を煽るのに腹が立つ。エロは金払わなくていいのか」と雑誌の姿勢を批判している。

 こういった違法動画を根絶することはできないのだろうか。

「XVIDEOSをはじめとした動画サイトを運営しているのは大半がアメリカの企業。FC2のように、代表者が日本人で日本国内を中心に活動していても本社はアメリカというケースもある。この場合、日本からであっても権利者が削除を申し立てればデジタルミレニアム著作権法(米国で2000年から施行)に基づいて運営側は削除に応じなくてはならない。しかし、同法は削除にさえ応じれば違法動画がアップされてもサービス運営者は罪に問われないという条項があり、根本的な解決にはつながらない」(アダルト業界関係者)

 削除申請に応じてもらえるならまだいいようにも思えるが、逆に言えば、いちいち権利者が申請しなければ違法動画は垂れ流し状態のまま。違法動画をチェックして削除申請するという作業は非常に手間が掛かり、権利者側の負担が大きいのは容易に想像がつく。また、違法動画の発見から削除までの間は配信を止める手立てがないため、アカウントを代えて繰り返しアップロードされれば対策は難しくなる。

 これは業者側だけの問題ではない。違法動画によってAVの売上が下がれば、そのあおりを受けたメーカーは制作費を縮小せざるを得ない。それで業界自体が盛り下がれば、予算は縮小の一途をたどり、小規模なメーカーなどは潰れてしまうかもしれない。そうなれば、結果的に消費者は良質な商品を手にすることができなくなり、選択の幅も狭まってしまう。

 この構図はAVに限った話ではなく、音楽やアニメや映画など全てのコンテンツビジネスに共通している。にもかかわらず、著作権あってこそ成り立っている出版社が違法動画の視聴を煽るような企画を立て続けに組んでいるのは無神経にも程があるといえるだろう。


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